勝山美貴（Miki Katsuyama）
大阪生まれ。上田安子服飾専門学校卒業後、赤川英（株）入社。
1980年「ファッションスタジオミキ」を起業し、'85年に株式会社として現在に至る。素早い行動力と、彼女を取り巻く人々の長所をフルに引き出す力を駆使して様々なプロジェクトをプロデュースし続けている。
ファッションスタジオミキでは、パターンメーキング・グレーディング・マーキング等の受託や見本商品作成を柱に、婦人アパレルの企画・生産をはじめ、専門店向けに自社ブランドの婦人服「M.rosée（エム・ロゼ）」の生産・販売（'90〜'07年）などを展開。
「人脈に恵まれ、必要とするものだけが視野に入ってくる」と言う彼女は、外からのプレッシャーをエネルギーに変えて行動する気丈さを持つ反面、強い感受性によって人の心を捉え、目前のチャンスを確かなものにしてきた。
パタンナーのひとりとして今後の展開を考え、パターンデータのデジタル化を模索していたとき、東レACSのCADシステムと出会う。これを自らのアイデアによって短期間で習得するうち「CADシステムをパタンナーに広めることで経験豊富でレベルの高いパタンナーを育成し、そのネットワークによって事業展開できるのでは」との確信を得る。そして2001年には、東レACSのCADシステムでSOHOパタンナーと仕事をつなぐ「MCS（ミキCADシステム）」をスタートさせた。現在（2009年）MCS登録スタッフは40人、CADの台数は46台を数え、海外（イタリア、フランス）から引き合いを受ける熟練パタンナーをも擁するようになる。
彼女自身が短期間でCAD技術を習得した経験を活かし、講習などで後進を育成することでMCSを推し進めてきた。当初、自社でCAD技術の講習を行ってきたが、最近では東レACSの依頼を受けて東京・大阪にある同社トレーニングルームで講義を行い多忙な毎日を過ごしている。
人間関係において“心地よいこと”を大切に、プラス思考で後悔せずまじめにやることを信条としてきた姿勢は、これらの講習においても受講者の心を捉え、着実にファンを増やしている。
2009年からは、熟練したパターンメーキングと縫製のノウハウおよびCADデータの利点を活かして、一般の手作りファン向けにパターンのダウンロード販売を開始。ナチュラルで洗練されたコーディネートを提案するとともに、生地通販サイトとも提携して型紙と生地が同時購入できるネット販売サイトを運営している。
好きなことを仕事にして生活していることへの感謝を忘れずにいたいと願う彼女の活動は今後も止むことがない。現在の事業の埋もれた可能性を発見し、次のステップに繋げるビジネスにして行くことを将来の展望としている。また、後進育成にも力を注ぎ“美しい譲り方”について考えることも今後の課題としている。
